もだ石へナス? ってズズが言った。
視線の先には、ホワイトボード。
ちょっとぼやけてるけど・・・
”もだ石へナス”って書いてある。
ぱぱちゃんの字。
これ、実は・・・
”甘沼へナス” が、正解。
ばあちゃん家へナスを届けなきゃって、メモだったんだけど。
ズズは”甘”って漢字も”沼”って漢字も知らない。
かわりに、”石”って漢字は習ったから知っている。
このホワイトボードを見て、一生懸命、自分の知っているものに当てはめて読んだ。
”もだ石へナス”って何?って。
”甘”って漢字も”沼”もって漢字も知っていると、”甘沼”にしか読めないのに。
あ、いや、ちょと微妙・・・かも・・・
”もだ石へナス”って言われてから、”もだ石へナス”としか読めない・・・
みんな、そうやって、自分の知っているものに当てはめてものを見ているだけかもしれない。
1つの見方で落ち着くと、それを信じているだけかもしれない。
そして、知っているものが違うと、”違う”って相手を否定してしまう。
信じているものが違うと、”違う”って相手を否定してしまう。
でも、相手は相手の世界があって、知っているものに当てはめているだけかもしれない。
他のものを知らないから、知っているものに当てはめているだけかもしれない。
夏休み、子ども達の知っている世界をのぞくいいチャンスかもしれない。子ども達が、何かわけのわからないことを言い出したら、想像してみよう。
それって、どんなものを思い浮かべているんだろうって。
それって、どんなことを知っているんだろうって。
そして、怒らず、焦らず、聞いてみよう。
ねぇ、どうしてそう思ったの?って。